Ubuntu12.04 でデジカメ写真編集 Vol.1 (環境準備)
目次
目的
"Olympus STYLUS-1s" を購入したため、それで撮影した RAWファイルの画像を、Ubuntu12.04 にて Photoshop と同様な写真編集を行えるよう環境構築を行う。
Vol.1 の本エントリーでは、GIMP を用いてRAWファイルを正しい色で扱えるようにするところまで設定を行う。
方法
"exFATファイルシステム" のSDカードをマウントできるようにする
デジカメでSDカードをフォーマットしたのですが、"exFATファイルシステム" を用いており、ubuntu 12.04 では標準サポートではないためそのままではマウントできなかった。
そのため下記パッケージのインストールを行い、SDカードをマウントできるようにした。*1
sudo add-apt-repository ppa:relan/exfat
sudo apt-get update
sudo apt-get -y install fuse-exfat exfat-utils
(上記コマンドでは 「公開鍵が〜」との警告がでたが、y 入力で許可して、設定を行った。)
コマンド実行後、ファイラの nautilus からSDカードアイコンをクリックする、または mount コマンドを用いて、SDカードをマウントすることができた。
GIMP で RAWファイル編集するための準備
今回、私のデジカメでは "RAWファイル+JPEG画像(低品質)" を保存する設定している。
これは後述するRAWファイル取り扱い・現像ソフトウェアの "UFRaw" によって、EXIF情報が失われてしまうための対応策である。(EXIF情報については別エントリーにて…)
Ubuntu におけるRAWファイル現像で、参考にしたのは下記のサイトです。
第74回 Ubuntuでデジタル一眼レフカメラを使う:Ubuntu Weekly Recipe|gihyo.jp … 技術評論社
GIMP がインストールされていなければ、これをインストールし、目的の gimp-ufraw パッケージをインストールします。
(Olympus の RAWファイルは拡張子が "ORF" で、これの現像はとりあえずできるようでしたが、完全対応しているのかは未確認です。)
sudo apt-get -y install gimp sudo apt-get -y install gimp-ufraw
RAWファイルの現像の流れ(Shotwell で画像確認)
個々人で楽な手順などがあると思いますが、OSSのUbuntuのリポジトリのパッケージで作業をやりたいという自分の考えがあったため、RAWファイルの閲覧には "Shotwell" を使った。
このソフトは Ubuntu12.04 にデフォルトインストールされているが、RAWファイルのサムネイル画像表示ができ、クリックした時の拡大表示の際は自動でJPEG画像へ現像を行うため、ピンぼけ確認なども簡単にできるのでこれを用いました。
Pic.1 Shotwell で画像を確認しているところ
Pic.2 Shotwell で画像をクリックして拡大画像を見たあと、ファイラでJPEG画像ができていることを示したところ
RAWファイルの現像の流れ(UFRaw でカラープロファイルを正しく設定する)
現像するRAWファイルが決まったら、右クリック「GIMP画像エディタで開く」を選択します。
または、ファイル拡張子が GIMP で関連付けされていれば、クリックで自動的に GIMP が起動すると思います。
Pic.3 GIMPプラグイン "UFRaw" でRAWファイルを開いたところ
ここで、簡単にコントラストの調整や画像の切り出しなどを行うのですが、そのためにはカラープロファイルを正しく設定する必要があります。
Pic.4 UFWaw のカラープロファイル設定画面
私は下記のサイト群を一読し、カラープロファイルについて理解を深めました。
- 【Gimp】『現在のカラープロファイル』について(旧:作業用色空間について)
- カラーマネジメントことはじめ: 晴れときどきGIMP
- GIMP と色管理
- モニタの見た目とプリントの色を合わせる方法![写真カラーマネジメント] | studio9
設定は Pic.4 の通りで、画像には "sRGB" を埋め込み、ディスプレイのモニタープロファイルを適用する設定を行いました。
私のディスプレイは "LG製 M2762WS" だったので、サポートページからカラープロファイルをダウンロードしました。*2
$ unzip M2762WS.zip Archive: M2762WS.zip inflating: m2762ws.cat inflating: M2762WS.icm inflating: M2762WS.inf
アーカイブを展開した後、GIMP のディスプレイのモニタープロファイルに "icm ファイル"を適用しました。
これで、他の端末がカラーマネジメントを行なっていれば、画像が他の端末でも同じような色味で見えることが保証できます。
RAWファイルの現像の流れ(UFRaw による TIFF画像への現像)
本格的な写真加工は GIMP で行うとし、簡易的なコントラストの調整や画像の切り出しなどを UFRaw で行ったあとは、Pic.3 にある右下の "OK" をクリックして、GIMP の編集画面に移動する。
GIMPの編集画面では「メニュー>ファイル>名前をつけて保存」を選択し、その後、圧縮なしの "TIFF画像" で保存を行う。
TIFF 画像を選択する理由は、写真編集で画像を劣化させないためである。
Pic.5 GIMP で RAWファイルを TIFF 画像に変換するところ
TIFF画像を正しい色で扱えるようにする
はじめに TIFF画像のカラープロファイルを「メニュー>画像>画像の情報」から確認しておく。
UFRaw ではデフォルトで "sRGB" が選択されているはずであるが、TIFF画像上からも確認する。
Pic.6 TIFF画像に埋め込まれたカラープロファイルの確認(sRGB が確認できる)
次に、GIMP の「メニュー>編集>環境設定」からモニタープロファイルを設定する。
Pic.7 GIMP のモニタープロファイルの設定(利用ディスプレイの "LG製 M2762WS" 設定が確認できる)
ついでに、「ファイルを開く時の挙動 "埋めこまれているプロファイルを使う"」を設定しておく。
(今後、カラープロファイル "adobeRGB" などを使う場合もあるかもしれないので "RGBに変換" を選択せず、また手間を考えて "どうするか確認" を選択しなかった。)
上記設定にて、下記のように少し写真の色味が変わるかと思います。
Pic.8 モニタープロファイル適用による写真の違い(左 : モニタープロファイル無し、右 : 有り)
加えて、ディスプレイの設定でも「映像モード "ユーザ設定"」や「色温度 "sRGB"」などの設定を行なってください。
ディスプレイの設定で鮮やかにする設定になっていたりすると、これも他の端末で見た時のイメージの差異が生まれる原因となりますので注意が必要です。
Pic.9 モニターの映像設定
まとめ
上記で、"GIMP を用いてRAWファイルを正しい色で扱えるようにする" ことができました。
所感
カメラは奥が深くて、勉強が大変ですがそれが楽しいですね。
次回は Photoshop のように写真を編集してみます。
16-bit/チャンネルのTIFF画像を出力できるRAWファイル現像ソフト "RawTherapee"(2015/11/7 追記)
GIMP は次期の 3.0 バージョンで、16-bit/チャンネル(またはそれ以上)の TIFF 画像に対応すると謳っております。*3
私が今使っております version 2.8.14 では下記のようなポップアップによる説明で、対応していない旨が分かります。
GIMP 3.0 にアップグレードした暁には、下記のRAWファイル現像ソフトで 16-bit/チャンネルのTIFF画像を出力できるので、使ってみたいと考えております。
RawTherapeeの使い方3:画像の現像、保存方法、その他の項目
以上。