「ペイチェック」を読んで
書名:『ペイチェック―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF) 』 著者:フィリップ・K. ディック
収録作品
- ペイチェック
- ナニー
- ジョンの世界
- たそがれの朝食
- 小さな町
- 父さんもどき
- 傍観者
- 自動工場
- パーキー・パットの日々
- 待機員
- 時間飛行士へのささやかな贈物
- まだ人間じゃない
小さな町、まだ人間じゃない、は一度読んだことがありましたが、時間をおいて読むと
「こういった意味があったのか」と気付かされることがありました。
今回の作品集で好きなものは下記3作品で、それぞれ簡単に感想を書きます。
ペイチェック
映像化されたのも納得のエンターテインメント作品で、はじめは不安な環境に投げ出された主人公を見てこちらも不安になり、
途中からは予定調和的な安心感を持って読むことができました。
こういう作品は読んでいて楽しいですね。
自動工場
ユートピアもので、二瓶勉さんの「BLAME!」を彷彿とさせる自己複製する機械が出る話。
密閉された部屋のなかで、すさまじい活動がものすごい音をたてておこなわれていた。
P.366 上記文章からはじまる1ページ、これら文章がもつ想像喚起の力。
久しぶりに小説の醍醐味を味わいました。
時間飛行士のささやかな贈物
「あぁ、そういうことか」と納得できた時の胸のざわつき。
時間物SFは思考実験の最たるもので世に多いですが、最後に記憶に残るのはいつも「もののあわれ」だなと思いますね。
以上。